【アメリカ大統領選挙】トランプ英語
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 弊ブログはアメリカ大統領予備選挙の候補ドノー・トランプ氏の演説などにおける英語を分かり易くて良いと高く評価する。他の批判もすると、次いで分かり易いのはヒラリー・クリントン氏の、最も分かりにくいのはバーニー・サンダース氏のである。
 アメリカ大統領における英語の分かり易さの大切さについては日本においても夙にそれを語る本などがあって指摘されている。言葉の分かり易さは民心と頭(ず)の高さを同じくすることができるということである。よってトランプ氏は今回の候補等の内には最も頭の低い人物であると見做すことができる。
 日本においては池田勇人総理の『寛容と忍耐』が頭の低さを徴すものである。尤も、トランプ氏の所信として表明されていることは寛容や忍耐とはかなり違う。不寛容と無忍耐を地でゆくかのような政策観が目立つが一方には社会保障の充実を訴えるなど従来の共和党にはない寛容な政策観も見られる。対するクリントン氏はいわば寛容と忍耐が当たり前のものと永らく認識されている人々に支持される候補であり、当たり前のことを如何に新しく感じさせるかがどうしても問われる。
 分かりにくさ、即ち難しそうな感じに惹かれる人々はいるものであり、サンダース氏が狙う票はそこであろう。弊ブログなどはどうしてもそこに日本の衒学的学者や評論家のようなものを感じてしまう。

 ハーバービジネスオンラインというネットの記事がトランプ氏の英語を小学6年生以下の水準で今回の候補者等の内の最低のものであるとの或る研究者の報告を紹介している。或る高名な将軍の「日本人は小学6年生並み」と同じ程に見られている訳である。

 さて、そこに例示されるトランプ氏の発言等を読むと、これまでのトランプ報道の嘘或いは英語力のなさによる誤解が浮かび上がる。嘘ならば英語そのものを理解することができてはいるということになるが、誤解ならば少なくとも英語力においては小学6年生並みのトランプ氏をも下回るということになる。英検4級も受からないのである。

 日本のテレビ報道に映るトランプ英語は"We are gonna make the America great."とか"win, win and win."などのかの定番の文句だけである。それだけでもトランプ英語の味は存分に海を渡って感じられるが、政策観に関してはそれだけでは見えない。その例示の文などを見る必要がある。

 Because our country doesn’t win anymore. Doesn’t win. We don’t win with military, we can’t beat ISIS. We have great military but we can’t beat ISIS. We don’t win on trade. You look at what China’s doing to us, what Japan does to us, what Mexico is just killing us at the border – at the border and with trade. Mexico is killing us – absolutely. We will do the wall. Don’t worry. We are going to do the wall.

 日本向け英語の沁みついている方々にはその"Because our country doesn’t win anymore. Doesn’t win. We don’t win with military, we can’t beat ISIS. We have great military but we can’t beat ISIS. We don’t win on trade."が恰も「もう勝負を下りよう。」とか「軍事力を捨ててイスラム国には寛容になろう。」、「貿易もやめてアメリカ製品だけを使おう。」などと言っているかのように見えるかもしれない。
 そこに肝となるのは"doesn't"や"don't"、"can't"などの基本動詞の現在形である。またそれらが縮約形なのもミソである。
 若しそれらが"Because our country hasn't won anymore. Hasn't win. We haven't won with military, we can't have beaten ISIS. We have great military but we can't have beaten ISIS. We haven't won on trade."となると、そのような状況は「我々のせい」と言っていることになる。現在完了形はいわば反省の文体である。然しそうであってはならず移民が悪いことにしたい――
 そうするためには現在形で言う必要がある。誰のせいなのかをそこには言わない。移民について語っている文脈に見ればそれは自ずと移民のせいであると言いたいことが分かる。端的現状認識だけをそこに示すことによってそれが何故なのか、どうするべきなのかは追って考えようという訳である。
 然し、そのトランプ氏が結局は数年を掛けて以て行きたい結論は「移民のせいでもない」ということであろうと思う。移民が問題を生じていることも端的現状認識であり、それがどう扱うべきかは今は決定的にはいえないのである。

 決定的にはいえない現状に言えることとしてトランプ氏が考えた修辞が「悪いのは全てメキシコである。」というものである。「移民」ではなく「メキシコ」である。
 メキシコはアメリカの歴史の最大のファクターといえる。よって大雑把に言えば「悪いのはアメリカの歴史を巡る柵(しがらみ)である。」ということである。「柵」は「さく」とも読む。トランプ氏が日本語やシナ語を知っているのかは分からないが、「柵ではなく壁を」、"Never the fence but the wall"と言うのである。
 アメリカの歴史を巡る柵の一つの大きなものはスペインなどとの抗争による帝国主義である。トランプ氏は反ブッシュ政権を明らかとしているのでそのアナロジーから反帝国主義を是とすることと思われる。アメリカは帝国主義的覇権の抗争をやめるべきであるというのである。
 柵は場所を区切り分け隔てるだけのものである。必要に応じて作られもするが必要がないのに作られることもある。何れにせよ「ここを入るな。」との強制阻止のメッセージが強くある。トランプ氏はそうではなく、柵をやめて壁に建て替えるべしと言う。壁には扉を着けることもできるし窓を着けることもできる。出入りを全くできなくすることもできるし自由にすることもできる。そのように当たり前のことを当たり前にすることができる国にしようと言っているのである。勿論、当たり前のことさえもなかなか出来難い国や人は少なくはなく、場合によっては仕方のないことではある。然し仕方がないで済ませていてはならない。その決意を伝えるのがトランプ英語の味である。

 "Mexico is killing us,"はブッシュ大統領の"the axis of evil"をもう少し次元の違うものに変えようとして考え出された文句であると思われる。ブッシュが語っていたのは今の脅威だけであるが、トランプが語るのは歴史的柵である。外在するだけではなく内在するものでもあるそれが最も大きな脅威であるというのである。外在の脅威だけを言い立てることは安倍政権も同じであるが、『トランプ政権』はそんな低次元のものではない。
 無論、トランプ氏を支持する人々の全てがアメリカの歴史に通暁していて彼の修辞を理解することができる訳ではない。その辺りの理解は政権の任期を掛けて図られることになろう。

 冠詞"theの用法を能く知る人ならば"We will do the wall. Don’t worry. We are going to do the wall."の真意も一目瞭然に理解することができる。その"the wall"は比喩の用法と位置づけられるものであり、実際に壁を建てる訳ではないのは明らかであるが米日などの報道ジャーナリズムはトランプ氏の政策観をそれを実際に建てることを前提に批判している。「到底無理だろう。」<ニューズウィーク日本版>など、選挙の演説を銀行や保険会社のステートメントと同じように捉えて評している、馬鹿である。
 然も"make a wall"でも"make the wall"でもなく"do the wall"、"do⇔undo"の"do"である。即ち、スイッチングが可能であるということである。
 また、"do the wall"は"do the Wall Street"とも解せ、ウォール街をかき回すという程の改革の意志が見て取れる。ウォール街をなくすべしとか原形を留めないまでにかえるべしとまではその住人のトランプ氏は思わなかろう。なので"Beat the Wall Street"ではないのである。商人はそもそも"beat"のようなやり方を好まない。よってトランプ政権になったらそれは現代的様相の池田政権といえるものになるかもしれない。対するクリントン政権もトランプの程には自信たっぷりではないもう一つの池田政権、アメリカの政治は宏池会×宏池会で成り立っている。

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by keitan020211 | 2016-03-23 19:38 | 政治、社会 | Comments(2)
Commented by コッホ at 2016-03-24 10:21 x
わたしは英語が出来ませんが、
トランプの英語は、たしかに分かり易いように感じる。
アメリカには、
英語がまだまだ不得手な移民の人も多いだろうから、
そういう人には「トランプの英語」は、
ウケが良いのかな?

わたしのブログにコメント、ありがとうございます。
keitanさんのブログは、
わたしにとっては、トランプの英語とは違って、
「かなり高度!」なので、コメントを入れることも出来ず、
申し訳ありません。

この夏にはお互いに、
「民進党、勝利!」の記事が書けることを、
期待しています。
Commented by keitan020211 at 2016-03-26 16:38
コメントをいただきありがとうございます。

 この夏に選挙のある参議院は良識の府といわれますが、日本の選挙は日本の選挙なので、良識を示すためにアメリカのトランプ氏の「良識のなさ」を引き合いに出すようなことをして欲しくはないです。
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