中国にとっての『広島・長崎』とは何か?

 今日の私のツイッターにこんなツイートを出した。



 このツイートには自分宛の返信による続きもあるので見てほしい。

 中国は日本に対し色々な情報戦略により知識における戦争を仕掛けているといわれる。
 その例が、日本における反中国的言説の多くは実は中国が日本を嵌めるために自らが用意しているものなことである。
 中国の動きが怪しいからといって中国を何の充分な知識もなく非難していると中国の思うつぼになってしまう。しかし'70年代の日中国交正常化以来の親中主義もまた、与するべきではないようなものがある。何かといえば中国の側に立ち、日本の国際政治における主に親アメリカの言説や判断を否定するものである。
 必要なのは親中でもなく反中でもなく、中国に是々非々の対応を取ることのできる政治である。
a0313715_21431473.jpg 国際秩序を無視する中国の数々の暴挙、民間の中国人のマナーの悪さ……そのようなものは中国自らも多かれ少なかれ懸念している自国の悪弊であり、それらを非難する言説等は日本が言い出すまでもなく、中国の側が予め用意しているものであり、自国を戒めるためのまたは日本人がそれらに対する罵倒と嘲笑を浴びせることに明け暮れることにより日本が自国の国益を真面に考えられなくするための企画に過ぎない。感情的になれば不利、それが彼等の目の着け処である。日本をそのような状態に陥れることにより、彼等はその正しさの如何はともかく、より理性的に優位に立つことができる。
 それと、日本語を読むことのできる日本の中国人留学生に注意を促すことである。彼等は他の中国人のマナーが幾ら悪くても自分達は違う人間と思っているので中国人についての批判を自分への批判とは思わず、人の振りを見て我が振りを直し、そして場合によっては賢人の側の者として愚かな一般の中国人に戒めを垂れればよいと思っている。

 情報戦略といえば思い浮かぶのは『広島・長崎』、1945年8月の日本の二つの都市へのアメリカ軍による原子爆弾による攻撃である。
 『広島・長崎』については当の日本もまた情報戦略を年来に持っている。その主なものは「あの戦争は過ちであった。しかし原爆はもっと大きな過ちである。」というもの。それは平たく言えば、「我々は悪い。しかし彼等はもっと悪い――我々は彼等よりはましである。」というものである。
 『広島・長崎』についてそのような理解を広めているから、日本の被爆国たることと核のない世界を目指すことに関する見通しには多少の如何わしさがつきまとう。
 そもそも、日本とアメリカのどちらがより悪いかを問うことそのものが誤りであり、二つの異なる悪が歴史的にぶつかったというような素直な理解がどうしてできないのであろうか?そして悪は二つに留まらず、もう一つの異なる悪が裏日本の海の向こうに昔も今もある。それが中国である。日本、アメリカと中国は世界の三大悪である。

 中国の『広島・長崎』についての理解と情報戦略、それは「あの戦争は過ちであった。しかし原爆はもっと大きな過ちである。」というものである。
 ――日本と同じではないか。
 そう、全く同じである。
 しかしそれは中国が日本自らの理解を同じく理解してくれているということではない。
 そもそも日本のそのような『広島・長崎』についての理解は中国製、MADE IN PRCのものなのである。
 すると合点のゆく人も多かろう。日本の報道メディアは中国の出先機関であると認識する向きが多く、彼等の毎年毎年報じている『8.6』や『8.9』にはどこか中国の匂いが漂うと気づくかもしれない。
 「あの戦争は多分に過ちを多く含むものであった。そして日本はそのさ中、アメリカによる原爆の攻撃を受けて戦争が終わることとなった。」、そのような素直な理解とは聊か違うものがある。

 中国は核武装が国際秩序により認められている国であり、核兵器の一つである原子爆弾は中国もまた持つものではある。
 しかしその理由は徹頭徹尾、アメリカやイギリス、フランスが核兵器を有することに対する専守防衛の試みなのであり、自らが核兵器を持つことを志向してのことではないという理屈である。
 専守防衛のための核武装といえば日本にもそれを主張する向きが少ないが、いる。その正否についてはここでは問わないが、中国の論理と似ているとはいえる。
a0313715_21393905.jpg 核兵器は使わないための兵器であるとの理屈もまた、元を辿れば中国が初めに編み出したものである。アメリカやソ連、日本などが核兵器を初めて開発及び実用化した時にはそれはあくまでも使う可能性を視野に入れてのものであた筈であり、実際にアメリカは使った実績がある。核兵器は実際に使える兵器なのである。主な使い方は敵軍の進路を塞ぐことであり、その使い方は取り分け海が広く人のいない所が殆どを占める太平洋には有効である。最も究極の使い方は市民諸共に攻撃する例の使い方である。
 中国が核兵器を専守防衛のためのものと位置づける理由の一つは核兵器の実戦における利用を可能とする程の高度な軍を持たない実情である。情報戦争のように武力を用いない頭と素手の戦いには中国は滅法強いが武力を行使するための軍は数の力の他は、然程に発達していない。かようの水準の軍に核兵器の実戦利用を委ねては危な過ぎるというのがその理由である。政治指導者がそれによる責任を負わされては堪らないからでもある。しかしアメリカやイギリス、フランス、果てにはインドなどが持つならば中国も「抑止力」として持たざるを得ないと考えた訳である。

 「抑止力による平和」の論はかように、元は中国の論理である。
 核抑止力論者がしばしばそれを「現実。現実。」という様は中国人の現実感とそっくり或いはそのものである。

 故に、「日本による侵略戦争は過ちであった。しかし原爆はもっと大きな過ちである。」なのである。
 日本人の『広島・長崎』についての平均的見方はアメリカを牽制し或いは非難する中国の情報戦略に乗せられてのものに過ぎない。
 しかし、中国は『広島・長崎』についてはこの七十余年に、殆ど何も言及していない。それとなく匂わせまたは日本の報道や口コミなどの様々の言説に中国のそのような見方を忍び込ませる手口により日本人のそのような理解を促している。
a0313715_21354958.jpg それとなく匂わせる手口が最も発揮されたのは記憶にそう旧くない、アメリカのオバマ大統領の『核のない世界』への理解の表明及びアメリカとの協調の政治的姿勢である。そこに、中国の情報戦略はアメリカが日本に対しやったことが如何に悪いかを日本人にそれとなく再確認させた。親アメリカ派の日本人もどこかアメリカを微かに憎むような心がしばしば見受けられるのはその故である。そして中国は日本が被った原爆による惨禍に大いに同情するというイメージをそれとなく植え付けた。しかしいつでも掌を返して日本の戦争責任を非難し続ける姿勢をも変えない。それらを秤に掛けて考えてみてもどうにもならない。かわらない同情とかわらない非難、それらの均衡をどう保ちながら中国に接するかはどう考えても答の出ない問いである。せめてできるのは日中に横たわる一つ一つの歴史問題を一つ一つ是々非々で答えてゆくことである。諸問題を総じて均衡して考えてそれを外交に反映させることは不可能である。

 オバマ大統領の広島の訪問はそのような中国の「アメリカはもっと悪い」という日本への刷り込みを解放するきっかけとなったことにおいて大きな意義がある。尤もアメリカの罪の事実は消えるものではないが「アメリカはもっと悪い」という歴史認識からは何も生まれず、何も癒されることがない。習近平主席と固い握手を交わしたオバマ大統領が、一方では習主席の手のDNA片をちぎり取ってもくれたのである。

 広島・長崎が、次はいつ上海や北京にも及ぶか――中国にとってはそれが当時の切実な懸念であった。
 中国は連合国の側でありアメリカとの共闘を保ってはいたが、共産革命を理由とする掌返しは勿論のこと、当時の国民党体制の侭でもいつアメリカと敵対することになっていたかは分からないのが当時の世情であった。国民党体制がアメリカに支持されることは飽くまでもそれがアメリカの意向に適うものとなる場合だけである。

 故に、毎年8月6日や9日が来る度に、新聞やテレビの神妙な報道に「日本人の心」を感じるようなことは如何わしい情報戦略に乗せられる人間の頭の一般的弱さを思えば馬鹿にできるようなものではないが、愚かなことである。

 8月6日は弊ブログの開設記念日――今年で4周年――であり、8月9日は愛犬の命日――二匹の内の妻、今年は一周忌――である。

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by keitan020211 | 2017-06-10 21:49 | 政治、社会 | Comments(0)
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