或るプリミティブな大衆迎合――古谷経衡のツイートと北条かやのブログ それとトランプ政権半年
 弘法にも筆の誤り。
 私の尊敬する'80年代生まれの文筆家である古谷経衡氏のツイッターにこんなツイートがある。


 猿はお坊さんにはなれない。
 私の軽蔑する'80年代生まれの文筆家である北条かや氏のブログにこんな記事がある。


 さて、トランプ政権が発足から半年になる。
 発足の初めから支持率が50%ない政権はなかなか例がなく、それが更に30%台へ下がっている。しかしその三割が岩盤の如く堅い支持層であり、その水準を下ることは多分ないであろうと日本の報道は予想している。それだけ下がっている理由は見るべき政治成果がまだないのが主なことである。
 そのトランプ氏が大統領選挙で勝った時、そして就任した時、日本の大新聞等は社説などに「大衆迎合」或いは「ポピュリズム」と批判した。
 「大衆迎合」は或る面では正しい指摘ではあるが、「ポピュリズム」は言葉の意味が誤りである。ポピュリズム、民衆主義とは民衆の盛り上がりに基づく政治の新しい波をいう概念であり、大衆迎合や人気取りの政治というようなことではない。民衆が自ら盛り上げるので為政者はそもそも人気を取る必要もなく、その波を受ければよいだけの話である。
 トランプ氏の登場はアメリカの民衆が自ら盛り上げた政治のうねりではない。彼の政権の政策顧問であるヘリテージ財団など、トランプ側により企画されたものであり、それが偶々有権者民衆に受け入れられての選挙戦の盛り上がりである。民衆はそこでは明らかに受け身であり、受け身でしか望みを懸けることができない状況の最大の理解者としてトランプ氏は大統領選挙に出て勝った訳である。そのためには相応の人気取りや大衆への迎合は必然に必要となるが、ポピュリズムではない。
 彼のようにそれが必要且つ可能であると認識しての大衆迎合ならば悪くはない。安倍政権で話題の忖度にも似、良い迎合と悪い迎合があることは彼を批判する報道メディアが最も能く分かっている筈である。

 しかし、自らの言葉や振舞いが、大衆迎合であるとの認識のないそれであったら、どうか?
 自分は普通に常識を語っている、自分は人のためを思って語っている――そのような自意識からの大衆迎合というものがしばしば見受けられる。厳密にいえば、人はそのような錯誤を全く免れることはできないのかもしれない。政治の世界におけるその分かり易い例はトランプ氏と戦ったヒラリー クリントン氏とその陣営及び支持層である。
 そのような錯誤を犯す一因には人間の独自性、オリジナリティーの限界というものがある。人は独立の存在として個性を持つべしとされるが、一億人には一億通りの個性があるかといえばそうでもなさそうなのが常である。故に、人は時に受け売りの考えを受け売りとは思わずに独自のものであるかのように語り若しくは行おうとする。受け売りの考えの基となる「考えの素」はメディアや口コミを通して数限りなく用意されている。
 'America First'もまた受け売りを構成し得ないとはいえない「考えの素」ではあるが、「移民の国アメリカ」よりは明白に独自性が強いと認識されているから、トランプ氏が勝った訳である。

 そして古谷と北条である。

 古谷は独自性の限界に嵌まっているのではないかと思われる。
 彼のようなリベラルナショナリズムの論士は少なくとも今までの日本にはなかった新しい型である。然もそのような型が確立されていると広く認識されてはいないので自らの型に嵌まって退屈になってゆくことにもまだなってはいない。
 「今まで」とは概ね1960年代の高度経済成長期以後である。それまではリベラルナショナリズムと呼ばれてはいないが、それに当て嵌まりそうな政治思想やその支持層が在った。その担い手たる政治家は鳩山一郎総理や三木武吉などであるが、高度成長以降の軽武装経済主義の路線の確立と共に下火となり、彼等自らもそれに合わせてその思想を適当に曲げてゆくこととなった。因みに私、弊ブログはそれらリベラルナショナリズムと軽武装経済主義を秤に掛けるような思想なので、その何れにとっても私は自分達の考えを曲げさせようとしてくる者と見えよう。政界ではそんな私に最も近い思想を持つのはやはり小沢一郎であろう。そのためには時には迎合し時には固辞する。

 大衆迎合の内の最もポピュラーなものは『庶民の気持ち』というテーゼである。
 今風に言い換えれば、『格差社会における相対的貧困層の増加』である。相対的貧困層とは大雑把に言うと所得水準や資産水準の平均を下回る人々のことである。飽くまでも相対であり、絶対的貧困層と比べれば富裕な層である。所得や資産の水準が平均未満なら、必然に社会的パフォーマンスも相対的に乏しくなる。
 社会的パフォーマンスとは良い服を着るとか、良い物を食べるとか、良い家に住むとか、更には愉しくて洗練された催しに加わったり若しくは自ら開くなどのこと、即ち消費と社交の在り方である。古谷氏はそれらを『リア充と意識高い系』という切り口で最近にその著書に論じて話題となりまた支持を受けている。私もその支持者の一人である。
 但し彼の唯一つの誤りは今はやりのハロウィン、イースター、プレ金やナイトプールなどを「意識高い系」に仕分けしていることである。
 ハロウィンとはケルト民族の新嘗祭が起源で今はアメリカに一般の秋祭り。
 イースターとはナザレのイエスの復活を記念するキリスト教の祭。
 プレ金とは日本の経済産業省の企画による、消費の喚起のために金曜日の時短労働を奨める啓発。
 ナイトプールとは夜行のプール。
 ――それらの何処にも意識高い系的要素は見当たらない。偶さか意識高い系がその一人として加わることはあるかもしれないが、彼等が音頭を取って盛り上げるようなものではない。
 彼はそれらを「気がつけば世の中、社交的でコミュ力豊富な、異性とうまく立ち回ることのできる連中だけに都合の良い体制が確立されている。上等じゃねえか。」と評するが、今の世の中の実態は全く逆に、義務的人間関係をしか結ぶことができず、コミュ力はその限りでのもので、異性を根本的に嫌う連中だけに都合の好い体制になっている。言いにくいことではあるが、その象徴は安倍政権を構成する安倍総理とその「お友達」である。安倍政権という義務の中でしか通じない言葉を操り、男女の世界をどこまでも分け隔てようとする。故にどんなに安倍総理のお友達とはいえど稲田朋美は共に歩める者がおらずに空回りすることになり、更には彼の妻安倍昭恵さえ片輪でトランプに蔑まれる。
 反安倍の側もまた、反安倍という内輪の義務のようなものにおいてしか人間関係やコミュニケーション、異性とのつながりを築くことができないので五十歩五十一歩である。
 慧眼の士古谷経衡も、自らの知らないことには「意識高い系」のレッテルを勝手に貼りつけてしまう。
 彼の他にも見られるそれらの華やかな暮らし振りについての批判は義務的人間関係をしか結ぶことができず、コミュ力はその限りでのもので、異性を根本的に嫌う連中だけに都合の好い体制を補強し護持しようとする体制人の口車に乗せられているか或いは自らがそのような体制人である。口車に乗せられて喋っている、允に残念なその一例は彼もまた私の尊敬して已まないマツコ デラックスである。
 「日本は世界で最も成功した社会主義国」とは正にその通りで、その原理は華やかな暮らしやそれ程とはいえないにしても暮らしと生涯の愉しみを自ら作り出してゆく才、即ち自由を蔑むルサンチマンの心性である。安倍政権もまたそのような社会主義政権である。そのような華やかさに対する逆上の見せびらかしとしてしか自国の伝統慣習を語ることができないのが彼等である。故に、オバマがお辞儀をしたり鮨屋の暖簾をくぐったりすると身障者の如く歓ぶ。

 そこでつくづく実感した。「地方には東京よりも、高級車が少ない」のである。走っているのは軽自動車や小型車ばかりで、都心で見かけるような高級車はめったにない。少し奇妙に聞こえるかもしれないが、私はその光景に、とても癒されたのだ。


 「そこで」ではなく、元々知っている筈なのに何やら「つくづく実感」と語るのはその言辞そのものが何等かの見えない見せびらかしの念から来るからである。その一つは「自分には何とならばいつでも帰れる故郷があるぞ。」ということであろう。しかし本当は「帰れる」ではなく帰らざるを得ない不祥事なのではないか。
 その見えない見せびらかしを補強するように、東京を往く車と田舎を往く車を比べる。そこでは東京の車は否定的表象であり、田舎の車は肯定的表象となる。
 そもそも見せびらかしに加わりたいから東京へ来た筈なのに、この期に及び、「東京の車=見せびらかし=人を傷つけるもの」という印象操作をする。「「傷つける」なんて言ってないではありませんか。」と言うかもしれないが、題名が「東京の「クルマ見せびらかし地獄」はしんどいぞ」で本文の冒頭に「都心で見かけるような高級車はめったにない。少し奇妙に聞こえるかもしれないが、私はその光景に、とても癒されたのだ。」と言い、要は「傷ついた。」ということである。「少しかもしれない」ではなく、まんま奇妙でしかない。
 そのような口上の在り方は「どいつもこいつも…」などと同じく、被害妄想を人に植えつけることを目的とするものである。そのように言う自らが被害妄想を持つ場合もあるし全く持たずに只人を陥れることだけを考えてのものな場合もある。北条氏はどちらかといえば、仮病の常習者なので後者そのものであるか後者に近いかであろう。
 被害妄想を人に植えつけることは政治性が伴う場合も多い。その政治性とは先述の、日本を世界一の社会主義国家にする永年来の営みである。被害妄想が社会主義的政策への志向を強め、そしてその成就の暁には不当な恩義をおしつける訳である。だから、「日本人に生まれてよかった。」となる。
 どうも北条かやは初めからそのような「日本は世界で最も成功した社会主義国」と「日本人に生まれてよかった。」の宣伝(プロパガンダ)の士としてデビューした者なようである。弊ブログの予てより批判する『安倍政治と反安倍の融合』、俗に言う『保守とリベラル』の一体化を地でゆく存在である。「『保守とリベラル』の一体化」とは勿論、弊ブログや中島岳志教授などの標榜するリベラル保守のことではないし、保守とリベラルが結婚することでもない。

 「都心をゆくクルマは「レベルの高い」車種ばかりだ。」は意図してか否か、前出の古谷経衡氏の『意識高い系』と符合する。「都心をゆく車は意識高い系の車種ばかりだ。」と読み替えられる。
 しかし現実にはそれらフェラーリやアウディ、BMWなどの高級外車は意識高い系とは殆ど関係ない。にもかかわらず、北条はそれらをそこに「意識高い系で嫌な車」という風に印象操作をする。そのための小道具がコインパーキングと都内の百貨店の駐車場、「ツンとすました顔で停まっている。」である。コインパーキングは高級外車の持主なら本来は使いそうもなさそうな下世話なものという表象性があるし、百貨店は本来は電車で行く所でありそれもまた高級外車には似つかわしくない筈なものではあるが「都内の百貨店だけは違う」という既成の文脈、即ち先述の「考えの素」で語るもの、「ツンとすました顔で停まっている。」は正に被害妄想を植え付けるための形容表現そのものである。
 アウディやBMW、それに何故かそこには挙げられないメルセデス ベンツを見掛けて「ツンとすました顔」と思う人は殆どいない。それらは最も素直に認めて受け容れられる車、即ち嫌味のない車であるというのが通念である。例えば自分が貧乏になった際に或いは貧乏ではないけれども偶々銭の持ち合わせがない際に乗せて送ってもらう場合にはBMWとマツダとどちらが素直に喜べるか?どう考えてもBMWである。逆に、マツダ車に乗せて送ってもらうよりは和光市までも独りで歩いて帰りたいと思うであろう。そのような違いこそがトヨタ以外の日本車と外車の歴然たる違いであり、トヨタ以外の日本車は子供騙しの見せびらかしの心性で出来ている。
 「それが悪いわけではないが、」ではなく「所詮そういうものなんだよ、世間知らず!」というのが北条の本音ではないか。それが続く「滑稽なような羨ましいような」に明らかである。明確に「しんどい」や「嫌い」などとは言っていない。
 「悔しかったら見せびらかせるようになりなよ!私だって所詮この程度でも精一杯見せびらかしてる――失笑するばかりであるが、――んだから!」、北条かやそのようなメッセージのエバンジェリストである。戦後レジームの訣別ということなら、正にその手の人々をいなくしなくてはならない。
 そういえば私のお気に入りで北条も近頃に気に入っているというGUが無人支払所をこの程に設けて有人支払所を原則廃止にしている。何と商品を一つ一つバーコードで通さなくてもよくて丸毎読み取って計算してくれる優れもの。北条には支払機の読み取り庫に入れた商品を置いてゆかないように精々気をつけられたい。「忘れて来ちゃった、ま、いいか。」と言えば立派な見せびらかしになる。

 北条かやはこの処にしばしば郷土愛とか田舎に癒されるとかと語っているが、そのような現実逃避的言説が正に都会の見せびらかしや所謂一極集中を助長するものであり、それもまた併せて根絶する必要がある。北条もまたその一端を担っている、地方を散々疲弊させて潰しておいて郷土愛や癒しなどとは余りに見え透いている。

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