【ちょっと知りたいキリスト教】「空の鳥」て何?
 直前の記事では精進料理の話をして、その舌の根も乾かないこの記事にはキリスト教の話――
 仏の教えにも、キリスト教の影響はあり、キリストの教えにも仏教の影響はある。但し、両者または神道などの信仰を互いに影響があるからといって安直に結びつけてはならない。

 今回の話はキリスト教の福音書と般若心経に通底するものについてである。

 福音書とはキリスト教の聖書の内の新約聖書の内の福音書と題する4巻の書物をいう。ナザレのイエスが如何にキリスト、即ち神であるかを説き記す福音書は4人のキリスト者により記されたので4巻がある。
 今回はそれらの内の『ルカによる福音書』にある一つのイエスによる譬話について考えてみる。

 現在にキリスト教会の多くにおいて標準のものとして用いられている新共同訳という聖書には§毎に題名が付き記される。それを辿り「からし種とパン種のたとえ」と記される箇所を見る(:ルカによる福音書第13章18節~21節)。

 そこで、イエスは言われた。「神の国は何に似ているか。何にたとえようか。それは、からし種に似ている。人がこれを取って庭に蒔くと、成長して木になり、その枝には空の鳥が巣を作る。」
 また言われた。「神の国を何にたとえようか。パン種に似ている。女がこれを取って三サトンの粉に混ぜると、やがて全体が膨れる。」

 因みに、その一文を普通話(北京弁)の中国語に訳すととても深い字面になる。勿体ないことである。

 さて、「空の鳥」とある。
 聖書を読んだことのある人ならばキリスト者ではない人も、他の箇所にあるこの話を知る人は多いかと思う。

 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。
<マタイによる福音書 第6章26~29節>

 勘の鋭い人――「聞く耳のある者」とは限らない。――はそこですとんと腑に落ちるものがあろう、その空の鳥と野の花の話は先のからし種とパン種の譬話とリンクするものであると。

 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。
 野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。

 人がこれを取って庭に蒔くと、成長して木になり、その枝には空の鳥が巣を作る。

 「言うことが矛盾している」ではない。
 それらが矛盾するかのように思われているのは前者が余りにも有名なものになって「種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。」と「働きもせず、紡ぎもしない。」の言葉が独り歩きをしているからであろう。して、その解釈が「あくせくと働くことは良くないことである」みたいなものとされることが多くあるのである。
 しかし、リンクする後者を見ると「その枝には空の鳥が巣を作る。」とある。巣を作ることはあくせくと働くことである。イエスは空の鳥にはそのような両面性のようなものがあると云うのである。その両面性或いは両義性というものを、イエスは一箇所で一緒に説明し尽くそうとはしない、即ちAが①と②を持つ場合に①と②を各々別の場所で語る。話における或る種の演出というものを重視する考え方があるようである。すると、①を能く憶えている人は②を聞いた時に①と②が表裏一体にぴたーと重なり合うことに気づく訳である。その「能く憶えている人」とは先にも記したように、信仰の深い人や徳の高い人であるとは限らない、単に物覚えの良い人である。しかし物覚えの良いことはキリスト教においてはとても重視されることなようであり、司祭や牧師などの教導者は神学校を修了していないとならないのはその反映といえる。

 それらの話と粗同じようなことが記されるのが般若心経である。

 般若心経の主題は『人が世に立つこと』である。キリスト教の用語ではそれは『神の国』と呼ばれる。
 人が世に立つためには、若さがなくてはならない。その若さが得られるためには、般若心経は「この経文を読み、意し(こころし)て祈れ。」と云う、允にシンプルな要求である。全ての人はそれにより若くなることができると云う、然るに年の明けには若水を飲むべしとも云われる。

 イエスはそれを説教や譬話を用いて多角的に説き起こそうとする。尤も般若心経も或る人達が多角的に洞察を究めて悟った処を一枚の紙にすっぽりと収まる経文とした訳である。
 出来た年は般若心経の著者の玄奘三蔵は7世紀の人なのでイエス(:1世紀)より遅い。般若心経がキリスト教を参照して出来たものであった可能性はある。
 玄奘の時代のキリスト教はその拡がった先の地域の風土と別ち難く結びついて発展したために、そうではない地域、殊に東アジアにおいてはキリスト教に近い信仰が拡がるためには仏教の体裁が必要となったのかもしれない。重ね重ね云うが、キリスト教に近いのでありキリスト教と同じではない。日本おいては例えばカトリック教会のローマ司教が何かを言うと「それは日本人の心と同じだ。ローマ法王は素晴らしい。」などと口走る向きが跡を絶たないがカトリック信仰は日本人の心と同じではあり得ない。先ず以ては「法王」と呼ぶことが誤り、今風に言うとアウト、宗教を粗末にする心性の反映である。

 般若心経にも、イエスの神の国についての教えの「人がこれを取って庭に蒔くと、成長して木になり、その枝には空の鳥が巣を作る。」のような一節がある。それがどれであるかは、その意味を受け止めるに際しての誤解を招く虞があるので各々の賢察に委ねるものとする。ヒントを云うと、「貧乏者は麦を食え。」には近いが「働かざる者は食うべからず。」とは違う。

 それが何故、「働かないことは理想の境地である」みたいな解釈と受け止められ方になってしまっているのか? 先述の「言葉の独り歩き」も一つの原因ではあろうが、信心深い人々には国富の形成と享受の役割を与えないようにする、即ち世俗主義を是とする自由主義的政策が19世紀から断続的に取られているからではないかとも思われる。国民を「信仰を守るならば働いてはならない筈ではないか」という論理で洗脳するのである。働いてはならないとはいわないまでも、例えば今の日本に見られるように「非正規社員でも充分ではないか、失業者でも充分ではないか」の論理はそれに類するものである。無論、そういえるような労働者の待遇や生活の水準にすることはなくてのことである。

 他にも、聖書には複数の箇所がリンクして一つの主題を完成する構造が多くあるようである。決して「一つ、何々;一つ、何々;・・・・・」や「生前退位の規定がないので皇室典範の改正が必要だ。特別法の制定を支持する者は国賊だ。」の世界ではないのである。「わしは密教…」――???、たわけなことを言う勿れとしかいいようはない。彼は般若心経に真向から反する。

 この記事に概説した福音書と般若心経の主題と近いと思わしいことを語るネットの評論の記事があるのでその全文を引用して終わる。
 部分の色付は弊ブログによる。

佐々木康彦 ITmedia オルタナティブブログ
2016年08月13日
茹でガエル:煮えたぎる鍋から飛び出しただけでは解決しないカタカナ職業の高齢化問題

●茹でガエル世代というラベルへの違和感

日経のこちらの記事を51歳の自分としては興味深く読んだ。
『どうした50代 このままでは「ゆでガエル」だ』
日経ビジネスは今の50代をこう命名する。50代の読者にとっては不愉快な話だろう。しかし、現状を冷静に分析すれば、そう指摘せざるを得ない。
 蛙は熱湯に放り込むと驚いて飛び出すが常温の水に入れ徐々に熱すると水温変化に気が付かずゆで上がって死んでしまう。この寓話はまさに、今の50代、とりわけ多くの男性の会社人生にそっくりだ。
wikipediaによると、茹でガエルとはビジネス環境の変化に対応することの重要性と困難性を指摘するために用いられる警句のひとつ、多くのコンサルタントや活動家などによって自然科学の実験結果であるかのように語られているが、実際には、蛙は温度が上がるほど激しく逃げようとするため疑似科学的な作り話が広まったものだそうである。
「水温の上昇を知覚できずに死亡する」ことと、50代のとりわけ多くの会社人生がそっくりとはどういうことだろうか?
そもそも水温の上昇にあたる、外部環境の変化に50代が気が付いてないという指摘ではないと思うのだが…
日本では'80年代に入るまで55歳定年制があり、ポパイ・JJ世代および新人類世代の親は55歳定年制のもとで働いていた人も居たはずで、自身が刷り込まれた定年年齢は55歳というケースが想定される。
そして、'80年代に入っての60歳定年への移行、その後の65歳までの雇用の延長など自身の環境が大きく変化したことを知覚できなかったというには無理があるのではないだろうか。

●大きな外部環境変化の直撃を受けた世代

またこの年代が働き始めたころの会社員の定年の姿もしくは団塊世代の定年までの働きかたと自身が求められている働き方の違いはこれまた明白であり、「こんなはずじゃなかった」という指摘は間違っていないが、楽観的で現実を直視せずという指摘にも同意しかねる部分がある。
著者の場合は、1985年に専門学校を卒業し社会人生活をスタートさせたが、その当時現場でバリバリ働いていたのは、25歳~35歳くらいの人たちであり、40代に入った方々は現場からは引退モードで扱われているような時代であったと記憶している。
また、NTT株が発売されたり、地方に1億円くばるなどのバブリーな時代には、定年まで働くのではなく、早めにリタイアすることが良いとされて語られていた時代もある。
その後にバブル崩壊、インターネットをはじめとするIT普及、リーマンショックなどの外部環境の変化に晒されるなかで、楽観的で現実を直視せずというのは受験地獄を勝ち抜いて良い学校に入って大きな会社に入ればエスカレーター式の人生が開けるという昔の概念を持ち続けているような人だったりするのだろうか。
このような事からも、今の50代が団塊世代と同様に出世できると最後まで夢を見ていたとは、著者は到底考えることはできない。
ただ、年長者を敬う、目上の人間の言うことには黙って従うというような教育をされた世代であること。
ビジネスだけでなく、サブカルチャーを含む風土面においても、戦後に作り上げられた成功モデルを頑なに守りながら拡大再生産を任された世代が環境変化を知覚してはいても、上に逆らいきれずに現在を迎えている側面は否定できないであろう

●煮えたぎる鍋から飛び出しただけでは解決しないカタカナ職業の高齢化問題

当該記事はサラリーマン(ホワイトカラー)のこんなはずではなかったということに触れているわけだが、これからの日本においては、昭和の時代に形づくられたアニメや美容業界のような末端で実務を行う人たちを低賃金で使い上位階層が儲かるモデルであったり、著作権をがっちり押さえて制作会社を買いたたくテレビ局の存在など、利益分配の産業構造的に改善が必要な部分が数多く残されていると考える。
また、カメラマン、ミュージシャン、デザイナーなどなど会社に属さない人たちの高齢化問題も実は深刻なものがあるはずだ。
老後の破産や貧困問題が論じられる機会が増えているが、こう考えると、「水温の上昇を知覚できずに死亡する」ならまだよく、定年制度だけでなく、個々人のライフスタイルの問題などから、リタイア後の生活が破たんし、人生を終えるまでの生活がとんでもないことになるケースが増えるような気がする
たぶんそこには、煮えたぎる鍋を飛び出しただけでは解決しない問題が広がっているはずである。

 序に一言:やはり私を含む、若い人々は片仮名言葉を遣いたいなんて思ってはいない訳ですね。ボキャ貧が世の中を仕切っていたら停滞するのは当然ですね。

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by keitan020211 | 2016-08-13 19:57 | ちょっと知りたいキリスト教 | Comments(0)
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