樹木希林の死去と自民党の総裁選挙に寄せて
 酷暑の出口が見えて来た処に、報道の大きな関心が寄せられているのは自民党こと自由民主党の総裁選挙と樹木希林こと内田啓子氏の死去です。
 この記事を書いている今は自民党の総裁選は大詰めを迎えている処であり、昨日の夜のANN報道ステーションとJNN NEWS23がその候補者である石破茂氏と現職の安倍晋三総裁による討論を行いました。報道ステーションは生放送でNEWS23は録画、一見は前者のスタジオのある六本木を出て足早に後者の赤坂へ向かっているかのように見えますが実際の順番は逆。赤坂と六本木は目と鼻の先で、国会議事堂のある永田町の辺りを出て渋谷へ向かう六本木通を渡るだけみたいな距離です。
 通常はその位の距離ならどちらも生放送で、前の予定が終わったら次の所へ速攻で向かうことがよくあります。「速攻」は旧い言葉で、'90年代の頃まではよく聞かれていたもの、簡単に言うと「直ぐに急いで」ということです。昨日のテレビ討論を観、良くも悪くも焦らず急がずに粗相のないし方を取るようになっているのかなと思いました。
 処が、それでもかなりの粗相がありました。
 報道ステーションとNEWS23、何れも「できるだけ多くの討論をするために、発言は1分程でお願いします。」と司会が討論を始める時に告げますが、どちらでも安倍総裁は平気で時間の超過をしました。2分や3分喋ってもええやないかみたいな。
 特に、NEWS23は時間警告灯が机に付いており、1分を経過すると燈火が点滅するようになっています。安倍総裁はそれを度々点滅させます。
 一方の石破氏はどちらの番組でも粗時間制限をきっちりと守って語りました。

 政治家はアナウンサーではないので、制限時間でぴたりと喋ることを義務づけられるものではありません。国会の審議や討論、演説には大凡の持ち時間の目安がありますがそれを守らなくても無効にはなりません。故に政治家がそのようなことで厳しく評価されることはないでしょう。偶々スタジオを共にする司会者がどんなに時間の超過をたしなめても、観る人々は平気で時間を破る人を平気で支持します。
 逆に安倍さんは時間を破っても語りたいことが沢山ある意欲のある人という印象を残し、石破さんは時間を守るけれど形式主義的で冷たいという印象を残しているのではないかと思います。
 特にNEWS23の警告灯の設置は若し安倍総裁を落としたいと思うならば逆効果で、寧ろ安倍さんを有利にしてしまうものと見えます。
 ジャーナリストによる突込みについても、報道ステーションの解説員の後藤謙次氏は厳しい問いを次々に安倍総裁に畳み掛けていましたが、NEWS23の司会の星浩氏は「4000頁もある件の文書、私も仕事で読みましたが、」と、真実であるにしても耳を疑うようなやる気のない喋りが所々に見受けられます。「うちも安倍さん達も仕事人同士、これからもお互い頑張りましょう。」と云っているかのように聞こえます。
 制限時間のように、自分達に求められることは政治家にも国家の指導者にも求められるに違いない、そのような他者認識のなさ、世界の狭さが安倍さんを無用に引き立てています。それとも、そうと分かっていて安倍総裁の3選を後押しするために態としているのでしょうか?
 因みに、私は制限時間ぴったりで話すことは得意です。そのような話は多くの場合は論旨を明確にすることではなく聴く人が物事を自分で考えるための題材を提供すればよいので、まとまった話にしようと考える必要はなく、考えてもらいたいと思うキーワードを所々に盛り込みながら喋り続ければよいのです。そういうと何か舐めているかのように思う人がいるかもしれませんが、よく分かる話は時間制限なしですればよい。牛歩でも何でもすればよい。分かることのきっかけを作ることが時間制限のある話では重要です。そのように見ると、宮根誠司などのような、いわゆる見るとむかつくアナウンサーについての見方も変わってくるかと思います、私は宮根氏の永年のファンですが。
 安倍総裁のキーワードも、「私は潔白だ、やってない。」であり、題材だけではなく論旨も明確で示唆のある話であったと見えます。

 人生には時間制限はありません。

 「人生八十年」といわれますが、それは平均寿命の調査の結果から見ての目安に過ぎず、内閣の支持率と同じように水ものです。
 平均が八十年ということは、極端な例なら、百五十年と十年の平均も八十年です。故に平均寿命が七十年が八十年になったら進歩しているとはいえません。平均寿命が堅調に伸びている今、同時に早死にも著しく増えています。
 私は少なくとも百五十年生きることを目標にしています。少々の不安はありますが、できるような気がします。幸いにも前世紀は稀であった百歳以上の人口が激増、何万人もいるという傾向にあります。

 よく、余命の短さを認識すると生きることの大切さが分かって生涯が濃くなってくるというような話が聞かれます。
 そのような感慨を抱くことを必ずしも悪いとは思いませんが、時間制限を意識する余命は残される人々に何かを与えるのではなく、何かを考えるきっかけを与えることに留まるでしょう。それも大切ですが、それを与えられた人々がきっかけをきっかけだけで終わらせるなら、逝った人の思いは伝わらなかったことになります。死にゆく人が正しいとは限らないので、きっかけだけで終わり或いは与えたきっかけそのものが無意味なこともしばしばあり得ます。
 日本人はとかく判官贔屓の因習からか、死に逝く人には無条件に意味があると思いがちです。しかし命を生きそして命を伝えることの意味は無条件にあるものではありません。
 意味がなさそうに見えてもそこに意味を見出そうとすること、それも良いかと思います。
 しかし「ないものはない」、それを基本の認識とする必要がある。財源にしても、ないものはない。それは言い換えれば命という人の認識ではどうにも総括することのできないものに関しては「意味がなくてもよい」ということです。
 何らかの意味に従ってしか生きることを許されない、それがかのテレビ討論にも言及された、杉田水脈議員にもその表れを見るような安倍政治の本質です。杉田氏の示す意味は駄目で他の意味なら良いのではありません。彼女を批判する人はそこを勘違いしてはいけません。
 意味がなくても正しく生きる。――石破茂。それが広く支持されればこの国は有望と思います。
 意味があるに決まっているではないですか、そうでしょう。――安倍晋三。それが広く支持されればこの国の前途は暗いでしょう。
 ぶっちゃけ言えば、安倍政権のような政権がしばしばあっても構わないのです。安倍だけではなく、安倍のような政権がもっと掃いて捨てる程のものになってほしい、少なくとも国民の不安をかりそめにも埋めてくれるだけの存在感があるからです。安倍政権が終わらないのは国民がその支持不支持を問わず、かりそめ天国を脱してはいないからです。
 しかし石破政権のような政権が時々必ずあること、それが必要なのです。
 そして何より一番大切なこと、それは安倍でも石破でもない、玉木雄一郎のような政権です。

 「ないものはない」と「全身癌」、語感に何か重なり合うものがあるような気がします、分かりませんけど。
 全身癌を十年程も患いながら先日に死去した樹木希林の心(マインド)にも、「ないものはない」という基本の認識が確かにあったのではないかと思います。
 私は数年前にそのことを芸能ニュースで聞いたときに、「全身癌」とはギャグなのではないかと思いました。何しろ聞いたことはない病名ですし、樹木さんの恍け(とぼけ)具合にも何か合うような響きであるし、何かの人間の本質を表現するためのネタなのかなと思ったのです。
 どうもそれは本質論ではなく事実であると悟ったのは樹木さんの死去の数日前、虫の知らせを感じた時です。虫の知らせは樹木さんが今の私の同年代であった33年前に重篤でもない曾祖父が今日に死にそうだと思った時以来です。今日といって本当に今日でした。思いがけず1985年に戻ったかのような気分です。当時は樹木さんの出演による富士フィルムの「お正月を写そう フジカラーで写そう」のテレビCMがあった頃です。

 夫婦の間にも「ないものはない」という認識を貫いた樹木希林と内田裕也、何やらヨーコ オノ レノンとジョン オノ レノンの夫妻のパロディみたいにも見えますが、ジョンも'Imagine there's no heaven.'と開口一番に詠う。
 英語に詳しい人なら、それが「天国はない」ということではないことは一目瞭然なのですが、「天国がないと想え。」という伝言は力があります。     
 私はここでロック魂とやらを説きたいのではありません。ロックとかクラシックとかいう前に、人としての認識を問うているのです。
 訃報やドキュメンタリーがあると紋切型に「天国へ旅立った。」という言葉が添えられますが、ジョンの遺志には反します。天国は無条件のものではありませんし、ジョンには反していてもポール――近日来日。――に反してはいなければよいというものではありません。
 私の理想でもある通い婚を一度の破綻を経てのものとはいえ本当に一生に亘り実践したその二人は私にとっては示唆深い意味があります。「夫婦は互いに向き合わないこと。」、その通りと思うし、私は一度も破綻せずに通い婚をしたいです。「破綻を経てこそ本当の愛」というのは全くの嘘で、樹木さんは運が良かっただけで笑。運も実力もなさそうな状況が今の政治でもあります。

118.png この記事を書いてから二週間が経った今日が酷暑の本当の出口になったようです。日中は30℃(:横浜)。久し振りの炎天下になりましたが気持ちの良い陽気でした。
 水分の補給は本当は大騒ぎの夏よりも乾きがちな秋が最も必要です。もう涼しいと水断しないように。

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