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【2019年/平成31年 年頭の論説】日本なりの主体思想を それぞれに
 世界の政治経済界の指導者達の集うダボス会議の主催による世界経済フォーラムが去る12月18日に発表した性格差の報告書に拠ると、日本は149か国の内の110位となり、G7では最下位となる。当報告書は経済、教育、健康と政治の分野における格差の指数を順位づけるもの。
 世界番付が出る度に、実にその通りであり日本は反省しなくてはならないとの声と番付には意味がなく日本は惑わされてはならないとの声が同じ位の塊の大きさで出る。その性格差の番付についてもまた早速や両方の声が出て来ている。
 その度に思うのは何れの声も多くは日本をどうしたいのかの考えと想いが見えないことである。前者なら性格差のない日本とは如何なるものをいうのか、また、後者なら世界を畏るに足らない日本の良さとは何なのか。何も分からないのである。そして何れにしても日本人が如何なる生き方をするべきなのか、目的に適う心得があるのかどうかも分からない。

 自分の国のことは自分と自分達が作らなくてはならない。勿論世界のあり方や動きを参考にしたり或る場合にはそれらと同じようにしなくてはならないこともあるが、それを含めても自らの場と道を選び取ることは自らしかない。
 「その通り、要反省」の方々は、詰まる処は誰かが現状を変えてくれて自らはその利得に与るだけでよいという本音が見え隠れするし、「無意味、惑うなかれ」の方々は、何を変えることもなく他者が何かを変えようとすれば自分がそれにより何の損をすることがなくても妨げて阻むようである。

 そのようになってしまう原因の内の二つにここでは注目する。
 一つは日本の政策のインセンティブ的性質であり、二つは物事を外国や他者との対比においてしか考えられない思惟の体系、俗に言う「頭」である。

 インセンティブ、incentiveとは誘因、動因、即ち物事を行う動機づけのための刺激ということである。今時にしばしば遣われるのは企業の業務におけるインセンティブであり、報奨金や従業員持株などがそれにあたる。消費に関しては、ポイントカードの還元など。馬の鼻面に人参を提げて走らせるといえば皮肉に過ぎようか、それらのインセンティブが成員の意欲を刺激して全体の成果を高めるというものである。SNSにおける「いいね♡」もまた金品の利益はないが継続を促し得るインセンティブといえる。
a0313715_22485950.jpg 私は日本の従来の政治をポイントカード民主主義と呼ぶ。選挙で投票するとポイントが貯まり、時々政策と引き換えてくれるというものである。そのポイントが多くて引き換えられる政策が多いと偶に選挙に来ない人がそれを貰えることもある。大抵はそう沢山のポイントが貯まる訳ではないのでそうなる時とはとても金持ちな人のポイントカードの賜である。
 そう見ると、再分配の政策としてしばしばいわれる高所得者への重課税は逆に金持ちが引換品を全て自分の懐に収めてしまうことになり、またそれでいて選挙の投票率は増さないことになると分かる。それを主張する方々は高所得者への重課税を求めながら一方では選挙に行かないことはあらゆる権利の放棄になると云い、大きな矛盾である。
 また、政策がインセンティブであるとは、政策の行い手である与党を密に支持する人が少ないということでもある。必ずしも党員や準党員にならなくてもよいが、自分の支持する党が政権を取ることのないまたは稀な自民党以外の支持者は言わずもがな、与党になることの多い自民党の支持層さえ自民党を自分や自分達の権利や利益を代表してくれる存在であると強く思う人はあまりいない。そうなると、与党による政策の多くは多くの日本人にとり生活の必需品ではなくインセンティブとして貰うものに過ぎなくなる。自分や自分達の生活の必要に根本的に適うと思われる政策は少なく、時々やる気スイッチを押してくれるだけのものなのである。
 その原因は日本の政治に政権交代がないことに尽きる。では何故それがないのかといえば、それぞれが政党政治に求めることが党派の左右を問わず、必需品の確実な調達ではなく御褒美をくれることであるから。
 産業経済が未発展で国民が生きる糧を得るにも政治の力が不可欠であった時代の日本には政権交代があり―:戦前―またはその可能性がまだあった―:戦後―。高度成長を経て日本が経済大国になると政治の力を必ずしも要しなくなって投票率が低まりそして自民党の一党支配が出来た。日本の程には露骨ではないが、諸外国も経済が好調な時代には政権交代が起こらず、例えばイギリスは'80年代以来の好景気でサッチャー政権の次は同じ保守党のメージャー政権に禅譲されたし、今'10年代は保守党のキャメロン政権がメイ政権に禅譲された。それは保守政党の場合だけではなく、イギリスの労働党の長期政権もまた経済が好調とはいえないが国民、取り分け労働党の支持層が生活するに困らないようになっていた時代の反映である。
 インセンティブ民主主義もまた日本にしかないものではないが日本には並外れて強い傾向である。
 自分の支持しない党の政権による政策はどうしても自らにとってはインセンティブ的に留まるものであり―アベノミクスは正に多くの国民がインセンティブとしてしか期待しなかった政策であり、それを与える側もまた政策とはそのようなものであるべきと思ってしている節があり、真剣に支持する人は少数。―、政権交代があればそれは自分の支持する党が野党の時にも幸福に暮らせるということになる。

 物事を外国や他者との対比においてしか考えられない思惟の体系、俗に言う「頭」。
 そのようなアベノミクスの性質もグローバリズムと呼ばれる昨今の諸外国の経済社会の潮流の直輸入を以てなされているもの。
 しかも、グローバリズムは後進国の経済発展を促して世界の格差をなくすという大義によるものである故に、先進国の中では後進国である日本の国民的感覚にも馴染み易い特徴がある。但し他の後進国等にとってそれは経済力という限られた目的に沿うものである―その良し悪しはさておき―が、日本にとってはそれがあらゆる分野における価値観となって外国や他者との対比を煽っているようである。弊ブログは前者をグローバル化と、後者をグローバリズムと呼び分け、前者を凡そ肯定して後者を凡そ否定する。

 外国や他者との対比でしか考えないのは自分や自分達が何を求めるかを考えない或いは考えがあっても隠すことによるものであろう。
 そもそもの日本的なるもの、日本らしさというものが他所との対比による嫉妬を埋めるものとして出来ているものであり、日本人の必要や欲求に即するものではない。嫉妬の穴埋めとは或る場合には他所と同じようなものを持つことにより肩が並ぶことであり、或る場合には他所とは異質で理解し難いものを持つことにより注目を誘うことである。昨今のグローバリズムの担い手はカジノの構想などに見るように前者が顕著でありいわゆるネット右翼には政治家などの性差別的言動の絶対的擁護などに見るように後者が顕著である。それらが若干の例外はあれ何れも与党自民党を支持している。現野党に対する心ない非難の数々をも通し、もはやインセンティブ民主主義としての消極的支持が生涯を懸ける程の本気の積極的支持と錯覚されるまでになっている。

 自分には、自分達には、何が必要なのか?
 新しい御世が始まってからではなく、平成の世の終わらない内にそれを考えてみるべしである。

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